カテゴリー:ターミナルケア 更新日時 2011/12/19
また、クリスマスの季節が来た。
3月11日の東日本大震災そして、それに続く母の死・・・・・。
人それぞれに、悲しみと喜びを織り交ぜながら、日々が過ぎ、季節が巡っていく。とりわけ、今年は私にとって大きな悲しみの日々だったけれども。
クリスマスについていつの頃からか、楽しみ喜びというよりも、なんとなく温かくて厳かな思いを抱くようになった。それは、スタッフたちと一緒に患者さんた ちのためにクッキーを焼き、手作りのプレゼントを作り、そして、ひまわり合唱団の人たちの合唱を共に聴く。病院のクリスマスの中で感じてきた思いでもあ る。
病院のクリスマスは毎年の行事ではあるが、毎年その顔ぶれは少しづつ変わる。それは、病院という場所は良くなって退院すると同時に命を終える場所でもあるからだ。
今日のクリスマス会に一昨年クリスマスを終えた後に亡くなったWさんの奥さんが見えていた。
「人目がなかったら、号泣したいくらい」2年前のちょうど今頃、闘病の直中だった。その日々を思い出しながら、涙ぐまれている。その言葉に肯きながら、 今、いのちの瀬戸際にいるYさんの奥さんも目を赤くして合唱団の歌に聴き入っている。来年のクリスマスは無いだろうということを心中に予感しながら。
いのちはいつかはその使命を終えて、大きないのちの元に還っていく。
毎年歌のプレゼントをしてくれる、ひまわり合唱団の恒例の最後の曲は「ふるさと」
『 志を果たして、いつの日にか帰らん
山は青きふる里 水は清きふる里 』
毎年、ひまわり合唱団の一員として皆の前で歌ってくれていた母も今はいない。合唱団の方々もその不在と存在を意識しながら、涙ぐみながら歌ってくれているのが感じられて、私も涙が溢れた。
母も「志を果たして」、大きないのちに還っていったと信じようと思う。
そして、私たち、今を生きている者たちも「いつの日にか帰らん」と思いたい。そして、縁あって、私達の病院で無くなった方たちもまた、志を果たし、その使命を果たし終えて、旅立たれたことを祈りたい。
スタッフの明るい「メリークリスマス!」の声とプレーヤーから流れるクリスマスソングが病棟を流れていく。サンタや天使やクリスマスツリーやトナカイたち(スタッフのコスプレ)が病室に笑顔と元気とプレゼントを届けていく。
こうして、病院の日々は重なり季節は巡っていく。
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