ドクターブログ たくさんの小さな光に囲まれて

「我妻病院へ帰る!」

カテゴリー:地域で医療する楽しさ 更新日時 2011/05/20

 めったにないことだが、病床が満床で他の病院に患者さんを頼むことがあった。
 Aさんは転んで、腰が痛くて動けないとのこと。
「少し待ってくれたら、ベッド空くんだけど・・・・」
「痛くて痛くて我慢できないから、どこかにとにかく入院させてくれ~~」
というわけでお願いしたら気持ちよく受け入れていただいた。
それから1ヶ月、良くなって退院の運びとなったらしい。
お願いした病院からお手紙が来た。
『入院してから2週間は我妻病院に帰ると言って聞かなかったけれども、そのうち慣れたようです』とのこと

「我妻病院に帰る!!」
「我妻病院に行く」ではなくて「帰る」と表現したおばあちゃんの気持ちが嬉しくて、ちょっと胸がきゅん。
 地域で医療をしていて嬉しいのは、こんな患者さんの生な声が聞けること。そして、患者ー医療者という枠組みを超えて、信頼しあえる関係があること。
 「帰りたい」と思われる病院になるまでには、歴史も必要だった。そして、何よりも患者さんを大切に思うスタッフが必要なのだ。
 「仕事だから」はもちろんだけど「地域の大切な隣人だから」
その気持ちを持って医療や介護に取り組んでくれるスタッフ在っての
「帰りたい病院」なのだと思う。
胸の中がほんわり温かくなる、一言でした。

幸せな出会い 自らのグリーフワーク 母の百日忌

「地域で医療する楽しさ」のその他の記事

健康作り講演会でお話ししてきました。

   過日 町民センターで50名を超える方たちに心の健康についてお話しさせていただいてきました。   「気づき つなげる あなたの優しさ    ~大切な人のいのちを守り…(続き)

『ありがとう』と言える日々

認知症の学習会で伝えたもう一つのことは「ありがとう」 認知症の方が持てる能力の最大限を使って日々を生き、私たちのケアを受けて下さっている。  私たちはそのことに「ありがとう」を伝えていますか?…(続き)

認知症勉強会開催!

 スタッフのための学習会「認知症ケアの哲学と理念」を実施しました。シフトのあるスタッフたちなので2回実施。  最初に私は「あなたは認知症の利用者さんを尊敬できますか?」と尋ねました。  目の前…(続き)

老健で死ぬこと~何も足さない、何も引かない~

 老健での看取りを重ねて、命を自然に終えることを強く意識するようになりました。がんであれ非がんであれ、高齢になっていのちを終えることに大きな違いはないように思えてきたのです。  最近心がけている…(続き)

老健~私たちの仕事~

治らない病や進んでいく障害と向き合うことは苦しい。  年を取るということは、究極、いのちの終わりに向かって、進んでいく障害を受け入れつつ生きることに他ならないとさえ思える。ましてや認知症や神経難…(続き)

記事一覧へ

お知らせ

お知らせを、twitterでつぶやいています。