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死の臨床研究会に参加してきました

カテゴリー:ターミナルケア  更新日時 2009/11/10

 名古屋で開かれた「死の臨床研究会」に参加してきました。
 がん対策基本法が策定され、日本中の患者さんがひとしく癌の治療を受けられ、緩和ケアが受けられることを目指して、これまで以上に、様々な取り組みが行われています。
 治療機会の均等化と向上いうことと、がん治療に携わる医師に緩和ケアの考え方を定着させるという点に於いて、第一歩は踏み出されたと思います。
 けれども、すそ野が広がることの利点を認めながらも、「死」というきわめて哲学的かつ倫理的な課題がマニュアル化された手法の中に埋没していく危険性を心配する人は私だけでしょうか?

 WHOのいう4つの痛みー身体・心理・社会・霊的ーの内、身体の痛みを取る技術(薬を含めて)格段に進歩したと思います。それ以外の、とくに霊的痛み(スピリチュアル ペイン)への配慮はどうなのでしょうか?
 今回は、そんなふり返りを含めて、ホスピス運動の意味を問うシンポジウムやスピリチュアルケアのワークショップに参加してきたのです。
 
 さて、ワークショップでは飛騨のお寺の住職さんの大下大圓先生の指導の下、スピリチュアルケアカウンセラーをミニ体験。
 驚きました! 軽い瞑想の誘導の後。聞き手と話し手と観察者となって各5分間ロールプレイをしてきたのですが、たった5分の話し手体験の間に、うわっっと思いがこみ上げてきて、涙がバラバラバラ・・・・・・
 もともと内省というか自己分析は得意な方だと思っていたのですが、自分で考えていた以上に深い洞察があふれる感情と共に瞬時にして浮かんできたのです。
 職員たった70名の小さな病院の院長職を譲られて2年。
 様々なことを乗り越えてきたつもりだったけれども、思いの外そのことを辛く感じていたんだとわかりました。
  院長となって、何よりもこの病院を頼りにしてくれる患者さんを支え、日夜奮闘しているスタッフを守り育てるために、という視点を自分に定めた時、副院長時 代のように気楽にスタッフと笑いあったりじゃれ合ったりできなくなったこと、時に個人よりも全体を優先しなければならない場面での決断など、管理職として は当たり前であろうことに自分を適応させていくことが辛かったんだなとわかりました。
 わかったからといって、この課題が解決されたわけではない けれども、自分のつらさの原因が、ロールプレイ前の自己分析では単純に「時間が足りない」、「余裕がない」だけだったのですが、そのことよりも「しなけれ ばならないこと」と「したいこと」の間のギャップだったとわかるだけで、一つ心か軽くなったような気がします。
 
 思いもかけずがんとい う病気になり、否応なく自分の「死」や「人生」と向き合わなければならなくなった人たちが、自分でも気がつかないでいた心の痛みをスピリチュアルケアを通 じて、汲みだし、流し出してあげることができたら・・・・・。そんな援助ができたら、もっともっと私達の病院のターミナルケアが良くなるのではないかと思 います。
 スピリチュアルケアカウンセラー、大いに勉強してみたくなりました。

医療は「契約」?「信頼」? クリスマス日和

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