カテゴリー:地域で医療する楽しさ 更新日時 2007/08/28
十勝は暑い日々が続いています。でも、夏晴れの日の往診は私の楽しみです。往診は毎週、火曜日と水曜日に私と院長とで分担して行っています。
香川県と同じ面積の足寄町は、経済効率を考えると在宅医療はとても大変。片道30分かけて患者さんのお宅に伺い、15分くらい診察したり四方山話をしたり してまた30分かけて戻る、そんなときもあります。以前に講演に来てくださった鎌田寶先生は、「そのような往診は経営的に見合わないでしょう?!がんばっ ていますね」と励まして下さいました。
でも、本音を言うと、とても楽しいのです。
今日はとくに天気も良く、すっきりと高く青い空の 下、どこまでも続く北海道のまっすぐな道をひたすら走って、山道に入り、でこぼこ道を走り抜けると道の突き当たりがAさんのお宅です。慢性腎不全でねたき りの95歳。口は達者ですが、子どもに返りつつあるAさんは少々わがままで、世話して下さるお嫁さんを困らせることもあります。ひ孫も手伝っての家族介護 で在宅生活が成り立っています。
病院では食事が十分とれなかったのに、家では快食快便。おかげで家族はうんちとの戦いです。
1週間ぶりに訪問して、開口一番「先生、だいぶやせたんでないかい?!」
確かに私はここ半年で5キロの体重減少に成功したけれども・・・・・
つまり、彼女は肥っていた私を記憶し、私が入院中の主治医であることを認識し、そしてやせた私と肥っていた私が同一人物であるということを認識できているということで・・・・。認知症のかけらもなさそうです。
さて、血圧を測り、診察をし、頬に出来た癌の処置をして、帰ろうとしたら「先生、次はいつ来てくれるんですかい?」という、嬉しい言葉と笑顔。帰り際に は、窓越しに振ってくれるさよならの手、そして、家族の方が丹精した家庭菜園で作ったトウキビとジャガイモをいただいて帰ってきました。
おもわず、お代はけっこうですといいたくなるくらい、こちらがお礼を言いたいくらいの楽しい往診でした。
これが、田舎医者の醍醐味だなあと、実感しています。
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