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患者中心の医療って?

カテゴリー:地域で医療する楽しさ 更新日時 2007/01/29

 大学で学ぶ医学生に現場の実際を教えたらという、札医は三内高橋教授、北大医学部は医療システム学の前沢教授のご配慮で11月と1月に講義をしてきました。
  私が教えるというか、伝えることができるのは、最新の医学ではなく、地域医療実践を通して得た「医療とは何なのか」という本当に基本的なお話しです。で も、医学を教える大学ではなかなか教えづらいテーマでもあるらしく、一部の生徒にはとても新鮮で受けているようです。講義直後に評価される(講師が)北大 での評価は学生さんの思いやりのヨイショ混じりとしても、涙が出ましたとか、とても感動しましたとか感想を書いてくれて、こちらのほうこそありがとうとい う気持ちになりました。(そして、その中の4人が足寄まで訪ねてくれたのには感激!)
 人と人が関わることが医療の基本であり、心を寄り添わせ、患者のありように寄り添う医療のかたちを理解し評価できる若者たちがいるということを知ることは私にとっても大きな励みとなりました。
  私が医学生や研修医だった頃がそうであったように、彼らの多くにとっては専門教育のさなかでは、目の前に広がるものだけが医療のすべてであるように思いが ちです。それは、たとえば、珍しい病気を見つけて「喜ぶ」ことに象徴されます。患者さんやご家族にとって不幸なことであるとの認識よりも学問的興味が先 走ったりします。病気ばかり診て、患者さんを見ていなかったなと今なら思えるのです。 

「患者中心医療」という言葉がいわれています。簡単に言うと、患者さんの病気に対する考え方 やそのことで起きる影響も加味し、患者さんと話し合いながら、最善の治療の方針を決定していくこと、です。簡単そうですが、これが実は難しい。私達医療者 の常識は彼らの常識とイコールではないから、実は前提から違っていたりすることもままあるのです(最近これに関連して「医師あたま」と言う本がでました。 参考になります)。患者さんの言葉にできない不安や願いを汲み取りながら、百人百様の価値観に向き合うためには、そのことを受容するという医療者側の決意 がまず必要になると思います。
 でも、逆にそのことが実践されるとき、私達医療者も安心して医療を行うことができるし、そのことで得られる温かな心の交流は私達を癒してもくれると感じています。
 そんな話をして、感応してくれる学生がいると、本当に嬉しいし、医者不足なんて言われているけれども、日本の医療にも未来はあるぞ、と思います。増えている女子学生も意識高いし。準備はちょっと大変だったけれども、なんだかとても元気になれた私でした。
 

人生にタイトルを付けるとしたら・・・?

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